今日は多動症、自閉症などの発達が関わる小児施術において、特にお母さんなどのご親族の方に配慮して頂きたいことをコラムにて書かせて頂きます。
『治療事例』、『オステオパシーの適応症』のオステオパシートピックス、以前の『院長コラム』にても、オステオパシー施術によって小児の発達に喜ばしい変化が起きることがあるということを書かせて頂いていますが、そうした発達関連の施術にはご親族の心理的協力が施術が成功するために重要な鍵であると言えます。
なぜかと言いますと、まだ幼いお子様は特にお母さんと心理的にも身体的にも密接なつながりを保っており、お母さん自身の心理状態を色濃く投影しているからです。
こうしたことは、オステオパシーにおける小児施術のエキスパートであるフィリップ・ドゥリュエルD.O.も述べていたことですが、私自身、小児の臨床で日頃深く感じていることなのです。
そこで、小児の発達支援のオステオパシー施術をお子様がお受けになる際に、いくつかお母さんやご親族の方にお願いしたいことがございます。実は、こうしたことが施術が成功するために非常に大切なことなのです。
施術を受けるお子様のお母さんやご親族の方に留意して頂きたい注意点
①お子様の前では、ネガティブな発言をなるべく控えて頂きたいということ。
②施術前には、施術者が遊び半分お子様と接しますが、それも大切なことだと認識して頂きたいこと。
③施術中は、どんな疑問点があったとしても、『本当に変化が起きるんだろうか?』『いったい、何をしているんだろう。こんなことをして意味があるのだろうか?』『うちの子は、ちゃんと施術を受けてくれないだろう。』という疑念をなるべく持たないで頂きたいこと。
④施術中は、施術が成功し、お子様に前向きな変化が起きるよう願って頂きたいこと。
発達に関わる施術が成功するために、実は上記のことが非常に大切な鍵なのです・・・。以下では、各項目ごとに詳細な説明とその理由を書かせて頂きます。
①お子様の前ではネガティブな発言をなるべく控えて頂きたい理由。
例えば、「この子は他の子とも落ち着いて遊べないし、言葉を覚えるのもとても遅いんです。病院では発達障害と診断されて・・・。」などの発言をその子の前でしていますと、その子自身、自分のことを言われているということを意識的にも無意識的にも分かっていることが多々ございます。それにより、ある種の罪悪感の様なものをお子様に植え付けてしまうことも少なくありません。そうしたネガティブな発言をお子様の前ですればするほど、その子にとってネガティブな結果を招きかねないのです。
実際上、体の構造的問題が起因して多動などの挙動が起きているお子様に関して、オステオパシー施術後に行動や言動に変化が起きることがありますが、そうしたオステオパシー施術を行ううえではお母さんの心理状態自体も施術が成功するかどうかに影響を与えているのです。もちろん、お子様のお悩みに関して詳しく問診したいところもあるのですが、それはカルテなどの紙面上で詳しくお聞き致します。また、お子様がいないところでメールや電話などでやり取りすれば、詳しい解説を致します。
しかし、そのお子様の前ではなるべく『障害』であるとかのネガティブな発言を控えて頂きます。実は、これは施術中に限ったことでなく、日常的にそうして頂く方がよろしいかと思います。お母様自身が強く問題思考(その子の問題点ばかりに目が行ってしまうこと。)していることが、お子様が喜ばしい方向に向かうための妨げになることもございますので、こうしたことには留意して頂きたく存じます。
②施術前には、施術者が遊び半分お子様と接しますが、それも大切なことだと認識して頂きたい理由。
特に発達関連の小児のオステオパシー施術を成功させるためには、施術者とお子様の距離感というのが大切になってきます。いきなり施術を始めてその子が恐れを抱いてしまっては施術が成功しないこともあるため、大人の方よりも施術を行うまでに十分な時間を取ることが多いです。お子様がその場の空間に慣れ、施術者に慣れ、一緒に遊んだりすることで段々と施術をさせてくれるということが常です。これは、多動や自閉などの兆候がある子でも施術を受けてくれるようになるために、非常に大切なことなのです。施術を受ける子にとっては、相手がオステオパシー施術家だろうが先生だろうが、全く関係ないのです。(笑)
ですから、まずは人対人のコミュニケーションを取ることから小児の施術は始まります。このプロセスには当然、お母さんを代表とするご親族の方のご協力も必要です。なるべく、施術院に到着するまでにも、「今から良いことをしに行く。」「楽しいところに行く。」というように、施術を受ける子自身がポシティブなイメージを持つよう配慮して頂くと、施術がうまくいくことが多いです。
③施術中は、どんな疑問点があったとしても、『本当に変化が起きるんだろうか?』『いったい、何をしているんだろう。こんなことをして意味があるのだろうか?』『うちの子は、ちゃんと施術を受けてくれないだろう。』という疑念をなるべく持たないで頂きたい理由。
言うまでもなく、子供の心理状態とお母さんの心理状態は非常に強くつながりを持っています。ですから、お母さん自身が施術に対して疑いの目で見ていたり、不安を強く持っていたりすると、その心理状態がお子様に伝染します。お母さんが不安なんですから、お子様が不安な気持ちになるのは当たり前なのです。当院の施術者は発達に関わる小児オステオパシーの専門的な教育を受けておりますので、実際に施術を受ける際には一端は信用して頂き、施術を温かい目で見守ってください。
施術において行ったことなどの詳しい解説は施術後に致しますので、施術中にたびたび質問などをされると施術の流れが途切れたり、お子様がそうしたお母さんの心理状態に呼応して施術がうまくいかないことがございますので、こうしたことも何卒ご理解頂きたいと思います。施術中の施術者は、その子が施術させてくれることを心から願い、施術自体に集中しているため、お母さんやご親族の方にはそうした流れを途切れさせないためにも静かに見守って頂きたく存じます。もし、オステオパシー自体に疑問がある場合は施術日の前にメールなどでその疑問を解消しておく方が良いかもしれません。メールでしたら、詳しくお答えできます。また、ホームページ内でも発達に関わるオステオパシーの小児施術について様々解説しておりますので、どうぞご参考になさって下さい。施術の現場においては、特に多動傾向の強いお子様の施術などは待ったなしの状態になりますので。
また、お母さんもびっくりするぐらい施術を素直に受けてくれることも多くございます。
④施術中は、施術が成功し、お子様に前向きな変化が起きるよう願って頂きたいこと。
これは、上記の③の続きの様なことですが、実は非常に重要なことなのです。当然、施術者よりもお母さんやご親族の方のほうが施術を受ける子と密接な関係がございます。そうした方が、施術者と一緒に施術が成功するよう心のなかで想って頂くこと自体が大きな助けとなります。とりもなおさず、人の身体というのは物理的な領域を飛び越えている側面がございます。また、人の思考というのは実際に『作用』しているということをご理解ください。こうしたことは、昨今、エピジェネティクスという遺伝に関わる分野や量子論などでも分かってきたことで、人の意思自体も、人に実際に『作用』していると言える数々の証拠があるのです。発達に関わる小児施術に関しては、特に、ご親族の方の心理的サポートが施術を成功させるために必要になってきます。これは、私が勝手に言っていることではなく、オステオパシーにおける小児施術では世界共通で認識されていることです。
上記の様な注意点は分かりにくいところもあるかもしれませんが、おそらく実際にお子様が施術を受ける際にその意味を感じて頂けると思います。
実際に、発達に関わる小児施術の臨床においてお母さんにこうしたことを快く承諾して頂いたケースで特に、お子様の行動や言動などに喜ばしい変化が起きていることが多いのです。
もちろん、最初の施術で明らかな変化が起きる子もおれば、何度か回を追うごとに変化が起きる子もおられますので、改善経過にはお子様によって個人差がございますが、オステオパシーが小児の発達に有益なことは毎日の臨床の現場を鑑みてもお伝えできます。しかし、多動や自閉という発達に関わることには非常に多くの要素が関係しておりますので、オステオパシーによってご親族が望むとおりの結果が必ず出ると言っているわけではありません。特に有益と言えるケースは、明らかな出生に関わる問題【出生トラウマ】があるケースであるということも、付言しておきます。
施術を受ける前から、過度な期待をして頂きたくはありませんが、オステオパシーが小児の発達に関するお悩みを軽減するのに有益な選択のひとつであるということは自信を持ってお伝え致します。
また、非常に強い多動傾向などがある子のお母さんが、「本当に施術を受けてくれるのだろうか?」と不安を抱くのも無理からぬことですが、上記のことを守って頂いたケースで特にオステオパシー施術が成功することが多々ございます。必要以上に不安を抱かずに、まずは前向きな姿勢で施術に臨んで頂きたいと思います。
来院されるまでに上記のことを御了承頂き、なるべく初回から有意義な施術をご提供できるよう、コラムにて『発達に関わる小児施術の際の注意点』について説明させて頂きました。
当院の施術者は、オステオパシーを通じてお子様の発達に寄与できることを本当にやりがいのある仕事だと感じています。
何卒、上記のことをご理解頂ければありがたく存じます。
長くなりましたので、今日はこれで・・・。