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クラニオセイクラル・セラピー(頭蓋仙骨療法)について。
2016年2月18日 木曜日

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この記事では、オステオパシーにおけるクラニオセイクラルセラピー、頭蓋仙骨系のコンセプトについて解説させて頂きたいと思います。

 

時折、『そちらでは頭蓋仙骨療法は行っていますか?』という問合せを頂くことがございますが、

『頭蓋仙骨療法』というのは、元々オステオパシーの一部です。

 

 

実際は、数あるオステオパシーの人体に対するコンセプトのひとつに『頭蓋仙骨療法』があるのであって、むしろ『頭蓋仙骨療法』だけを行う『セラピー』自体が元々のオステオパシーのコンセプトから外れてしまったものなのです。

 

それには理由があり、一部のオステオパスが基礎医学的知識がない人向けに頭蓋仙骨系のコンセプトだけを教えていたことがあり、そこから派生して『頭蓋仙骨療法』として独り歩きしてしまったのですが、オステオパシーは全身のつながりを視野に入れたホリスティック医学ですので、当然、頭蓋仙骨系だけを施術の対象とすることはあり得ません。

 

話を頭蓋仙骨療法(クラニオ・セイクラル・セラピー/クラニオ・セイクラル・バイオダイナミクス及びメカニクス)の解説に移しますが、オステオパシーにおいて頭蓋領域のアプローチを飛躍的に発展させたのは、ウィリアム・ガーナ―・サザーランドというD.O.(オステオパス)であり、1939年に『The Cranial Bowl』という著作を出版し、頭蓋骨調整法の基礎概念を世に出しました。

 

Sutherland

 

  ウィリアム・ガーナー・サザーランド(William G. Sutherland)DO

 

 

 

サザーランド博士は、解体された頭蓋骨の縫合を観察して、側頭骨と魚のえらとの類似性に着目し、頭蓋骨と呼吸が関係しているのではないかという仮説を立てました。サザーランド博士は自分自身や家族への実験や調査を繰り返し、癒合して固まっている頭蓋骨には呼吸に似た僅かな動きがあること、頭蓋骨の呼吸の様な動きは体液と関連が有ることを仮説として打ちたて、それに基づいて臨床を重ねました。

 

その後、サザーランドの弟子であるロリン・ベッカーD.O. らによって更に研究が重ねられ、70~80年代にはDrアプレジャーらのミシガン州立大学における研究によって実際に頭蓋骨が一定のリズムを持って動いていることが証明されたのです。一般的な解剖学では、頭蓋の縫合は不動関節(動かない関節)とされておりますが、実際には微細な動きがあることが明らかとなったのです。

 

そうした頭蓋仙骨系に関して、非常に重要な要素として以下の2点が挙げられます。

 

➀頭蓋と仙骨を繋ぐ硬膜系を中心として、頭蓋や全身は原初的な自律的リズムで動いている。(肺呼吸とは別の、受胎から続く原初的呼吸をしている。)【第一次呼吸メカニズム】

 

➁第一次呼吸メカニズムには、脳脊髄液が深く関わっている。

 

他にも重要な点がありますが、いっぺんに解説すると長くなってしまうので今日はこの2点に的を絞ります。

 

➀の頭蓋仙骨系のつながりについてですが、これには以下の概念図が理解の役に立ちます。

 

koumaku 【プロメテウス解剖学アトラスより抜粋】

 

赤線が少々雑で申し訳ございませんが、この図の赤色の部分が、頭蓋と仙骨の硬膜系の繋がりを示しています。細かく言えば、小脳テントや小脳鎌、及び尾骨の終糸など、細部のお話もできますが、それをすると専門的になり過ぎるので、頭蓋と仙骨・尾骨などは一連の膜で繋がれているということを示すための簡略的な図だと認識してください。この様に、頭蓋内で脳を包む硬膜という膜は、背骨の中で脊髄(神経)を包み、そのまま仙骨という骨盤の中心及び尾骨までつながっているのです。また、硬膜という漢字が示す通り非常に強靭な膜であり、その強靭さが頭蓋から仙骨までの連動性を生み出しているとも言えます。

 

こうした頭蓋仙骨系の連動性というのは、物理的な強い外傷を受けた際などにも互いに連動していますし、オステオパシーで第一次呼吸メカニズムと呼んでいる頭蓋仙骨を中心とした自律的な動きの際にも互いに連動しています。

 

こうした頭蓋仙骨の繋がりを示す分かりやすい例では、スノーボードなどでしりもちをついた後に急激な頭痛やめまいを経験するという症例が挙げられますが、そうしたケースでは仙骨や尾骨に負った外力が硬膜を通じて頭蓋に影響を及ぼしたと言えます。これは私が勝手に言っていることではなく、臨床上そうしたことは多々ございますし、オステオパシーにおいては半ば常識になっている現象です。

 

オステオパシーでは全身のつながりをあくまで重視して施術に当たりますので、例えばそれが『頭痛』という主訴だったとしても、必ず骨盤を含めた全身を視野に施術を致しますが、それはこうした膜を通じた全身のつながりを深く理解しているからなのです。場合により、主訴が頭痛だからと言って頭蓋だけを調整したとしても、仙骨骨盤側の不整合があるままだと、頭蓋仙骨系の繋がりや一次呼吸メカニズムが関与して、症状の根本的な改善が望めないことが多々ございます。

 

また、頭蓋仙骨療法について理解するのに、もう一つの重要な要素が、脳脊髄液です。

 

 

ネッター解剖学アトラス_493

 

【ネッター解剖学カラーアトラスより抜粋】

 

脳脊髄液とは、脳や脊髄を覆う液体なのですが、脳脊髄液の循環は脳や人体の神経ネットワークが円滑に働くために非常に重要な働きをしており、また、脳脊髄液は一次呼吸メカニズムの一連のリズムにも関与しています。学術的には硬膜の内側である、クモ膜下腔を流れ、脳や脊髄を保護している様な液体です。

 

オステオパシーの創始者であるA.T.スティルも脳脊髄液の重要性について格別の注意を払っていました。スティル先生は脳脊髄液についてこの様に述べています。

 

『脳脊髄液は人体に含まれる最もよく知られた要素であり、

脳が豊富にこの液体を供給しないと、身体は障害された状態のままだろう。

判断のできる人は、この大いなる命の川から水を引き、

すぐに枯れた原野を潤さなければならず、さもないと、

健康の収穫が永遠に失われることがわかるだろう。』

 

脳脊髄液の流れの改善というのはオステオパシーの施術において非常に重要視することで、それは第四脳室、第三脳室、側脳室などの脳室に働きかけることで脳脊髄液の産生と循環を促し、中枢神経、つまり脳と脊髄が円滑に仕事を全うすることを助けるという側面がございます。

 

健和トータルケアの臨床においても、脳脊髄液減少症と診断された方の頭痛やめまい、長年に渡る全身の倦怠感などの改善に成功した事例がございますが、そうした難病の診断を下されていない人でも、慢性的な頭痛、肩こり、全身の倦怠感、事故後から起きた不定愁訴などを訴える方に脳脊髄液の調整を行うと症状の改善が見られることも少なくありません。

 

オステオパシーは創始者が医師であり、施術で行っていることには医学的側面が多く含まれるため、ひとつひとつ解説しようとすると説明が難しくなってしまうことがありますが、それはオステオパシーの奥深さの裏返しであるとも言えます。その一端でも、このコラムを通じてご理解頂ければ幸いです。

 

また、最初のお話に戻りますが、頭蓋仙骨療法はあくまでもオステオパシーの一部です。

 

サザーランド博士自身、実際には頭蓋仙骨以外のオステオパシーにおける治療技術も修得しておりましたし、頭蓋仙骨療法だけを行っていたのではありません。例えば、頭が痛いと言っても、それが何が原因で起こっているのか全身から見つけ出し、治療するのがオステオパシーであって、『私は頭蓋仙骨療法しか学んでいないから、他のところは治せません。』ということでは、それはオステオパシーではありません。実際に、サザーランド博士は時折、オステオパシーを学ぶ生徒から、「先生、頭蓋の治療を教えてください。」と乞われた際に、「それではあなたは、頭蓋以外の治療の全てができる様になっているのか!?」と激怒することがあったそうです。サザーランド博士自身、全身の繋がりを大切に考え、あくまでも全身に対するアプローチがあるオステオパシーの中の、ひとつのコンセプトとして頭蓋仙骨系の概念を世に打ち出したと言えます。

 

 

長くなりましたが、ここまで読んでくださる方がおられたなら、ありがとうございます。オステオパシーのことをちゃんと説明するのは、骨が折れます。(笑)

 

【ちなみに、この記事は、治療家向けに書いておりませんので、クラニオ・セイクラル・バイオダイナミクスに関する詳細な解説は意図しておりません。私自身は、バイオメカニクスとバイオダイナミクスの明確な境界をあまり重要視しておりません。なぜなら、頭蓋におけるメカニクスに働きかけるときも、必ずバイオダイナミックフォースにもアクセスしているでしょうし、機械論的理解と生体動力学的理解とを明確に線引きする必要性をあまり感じていないためです。もちろん、私自身はバイオメカニカルなアプロ―チも、バイオダイナミックなアプローチも両方行いますし、混合している場合もございます。この記事では、ざっくりとクラニオセイクラルセラピーの解説を意図しており、そうした区分はあえてしておりません。話がややこしくなりすぎるので・・・。この発言は、主に治療家向けに書き足した事項です。 】

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