フィリップ・ドゥリュエルD.O.は、伝統的なオステオパシーを受け継ぐオステオパスです。カナダの医師に要請されてカナダにオステオパシー・カレッジを設立し、2016年現在ではカナダ・ドイツ・スイスなどの計9校のオステオパシー・カレッジの理事長を務めておられます。1983年以来、膜系の動力学、液体、頭蓋領域、脳の全身への作用、第三脳室と側脳室、体液とエネルギーの自由な循環に対するアプローチを研究し、また、発生学を元にしたセントラルチェーン(中心鎖)に関する研究などでも多くの反響を呼んでおり、小児科・産科・婦人科においても世界的に名声を得ているオステオパスです。また、分野にこだわらず、オールマイティーにオステオパシーの伝統を引き継いでいるオステオパスの一人であると言えます。
3月に参加したこちらの研究会は、健和トータルケアの施術者が心から尊敬するオステオパスであり、伝統的なオステオパシーの継承者であるフィリップ・ドゥリュエルD.O.による人体における7つのコンセプトをご説明頂いた研究会でした。伝統的なオステオパス、例えばA.T.スティルDO、ウィリアム・ガーナー・サザーランドDO、トマス・スクーリーDO、ロリン・ベッカーDO、ヴィオラ・フライマンDOなどが、どのように人体に対峙していたのかを、ドゥリュエル先生が新たに発見したことを交えながら、系統立てて人体を7つのメカニズムとして捉え、その知識と感覚をお伝え頂いた研究会でした。
世の中には、テクニックを伝えるセミナーはごまんとありますが、この研究会では多くのテクニックを教えるのではなく、人体と対峙する際の根源的なメカニズムに関する理解と、オステオパシーの哲学にもある通り、人はBODY(身体)、MIND(心)、SPIRIT(精神)で生きており、単なる物体として人体を捉えるのではなく、生き生きとした生命体であるということを、感覚も共有しながら深くお伝え頂いた研究会でした。また、フィリップ先生の師匠であり、小児科において偉大なる業績を残し、最近、他界されたヴィオラ・フライマンDOのことも、本当に心からくる親愛を込めて語って頂きました。言葉にすると難しいところもありますが、非常に造詣が深く、この場にいれて良かったと思える感動的な研究会でした。また、非常に珍しいこととして、ドゥリュエル先生の奥さんであり、オステオパスでもあるジュリーさんも来日され、その夫婦愛にも心打たれました。内容の詳細は書きませんが、一生の思い出に残る研究会となりました。