フィリップ・ドゥリュエルD.O.はその優れた業績により世界的に認められたオステオパスであり、数多くの伝統的なオステオパシーカレッジを創設し、学生の指導にあたる他、セミナー講師として複数の大陸にまたがって精力的に活動されています。オステオパシーの概念を初めて頭蓋内に応用し、脳の機能を再び活性化させる数多くのテクニックを開発してこられました。小児科学、産科学の分野でも多大な貢献を残し、脳震盪の後遺症の緩和にも寄与されてきました。現在までに学生及び施術者向けにオステオパシーの専門書28冊執筆されています。また、偏りなく、オールマイティーにオステオパシーの伝統を引き継いでいる数少ないオステオパスの一人であると言えます。小児科において多大な功績を残したヴィオラ・フライマンD.O.の後継者でもあります。
今回のセミナーの題名は、『ムーブメント・オブ・ライフとバイオダイナミック・フォース』となっておりますが、一般的には少々分かりにくい題名かもしれません。なぜなら、今回のドゥリュエル先生によるセミナーの根幹は、テクニックセミナーではないからです。どういうことかと言いますと、テクニックを教えることはいくらでもできるわけですが、では、多くのテクニックを使えるようになれば、本当に良いオステオパス、もしくは治療家になれるのでしょうか?
このセミナーでは、明快に、伝統的なオステオパシーが、なぜ、様々な疾病や問題を抱えた人に対し、助けになることができたのかということに対して、根幹的な問いにドゥリュエル先生に答えて頂いたという、非常に稀有なセミナーであったと言えます。
もちろん、多くの技術を教えて頂きましたし、私としては復習であることも多くあったのですが、それ以上に、人に対峙する際に、どういうことが治療者と治療を受ける方との間に起きていて、どういうことが治癒への『鍵』をもたらすのか?
その根幹的な、知識というよりは、『知恵』を授けて頂いたと直に感じられる研究会でした。
もちろん、医学的知識の研鑽や、治療技術の切磋琢磨は常に行っておりますが、結局、目の前の人のために役に立てるかどうかが、治療家の一番の役割であり、そのために根本的に何が大切なのか?
深く、合点がいった研究会でした。あまり、多くを語るつもりはありませんが、非常に心に残る研究会でした。この経験を、日頃の臨床に生かしていきたいと思います。