フィリップ・ドゥリュエルD.O.はその優れた業績により世界的に認められたオステオパスであり、多くの伝統的なオステオパシーカレッジを創設し、学生の指導にあたる他、セミナー講師として複数の大陸にまたがって精力的に活動されています。オステオパシーの概念を頭蓋内に応用し、脳の機能を再び活性化させる数多くのテクニックを開発してこられました。小児科学、産科学の分野でも多大な貢献を残し、脳震盪の後遺症の緩和にも寄与されてきました。現在までに学生及び施術者向けにオステオパシーの専門書28冊執筆されています。また、偏りなく、オールマイティーにオステオパシーの伝統を引き継いでいる数少ないオステオパスの一人であると言えます。小児科において多大な功績を残したヴィオラ・フライマンD.O.の後継者でもあります。
2018年5月に開催されたフルクラム・オステオパシー・スタディ・グループ主催のフィリップ・ドゥリュエルD.O.による『セントラルチェーンと自己調節2』というテーマの国際セミナーに、健和トータルケアの施術者が参加してきました。『セントラルチェーン』という言葉自体はドゥリュエルD.O.が作った言葉ですが、セントラルチェーン自体はインドのアユルヴェーダなどの伝統的な医学においても『チャクラ』という言葉で言い表される様に古くから着目されているものであり、それをドゥリュエルD.O.が伝統的医学と発生学などに基づく基礎医学的知識とオステオパシー的な視点とを統合して、ブラッシュアップした概念であると言えます。
セントラルチェーンを具体的に部位において述べれば、第三脳室、下垂体、甲状腺、心臓、肝臓・胃・膵臓、腸間膜根、女性なら子宮峡部、男性ならダノンビリエ筋膜と前立腺、会陰腱中心(腹膜の終着駅の様なところ)の一連の繋がりとなります。健和トータルケアの施術者としては、今までもセントラルチェーンについて学び臨床にも応用しておりますが、セントラルチェーンだけでさらに5日間じっくり学んだことは非常に稀有なことであり、玄人受けするテーマかもしれませんが(笑)、非常に深いテーマであったと言えます。実際上、ヨガなどでもチャクラと人の心理や精神的事柄と関連して話されることがありますが、ヨガ行者のチャクラの考え方は非常に卓越したものがありますが、それをエネルギーセンターとして捉えるだけでなく、解剖学・生理学・発生学に基づいても様々なヒントがここには隠されており、交感神経と副交感神経の相互作用、筋膜の相互作用、血管樹、ホルモンなどを基礎とする自己調節機能、感情や精神との関連性に至るまで、セントラルチェーンがいかにして人の発生と自己調節(身体・心・精神を含めた)に深く関わっているかを明確にし、いかにしてセントラルチェーンの概念を日頃の臨床に活かしていくかを学びました。また、実際にドゥリュエル先生とジュリーさん(ドゥリュエル先生の奥様であり、同じくオステオパスです。)で行ったデモなどが感動の連続で、深い感銘を受けました。是非、この機会を今後の臨床に活かしていきたいと思います。