フィリップ・ドゥリュエルD.O.は、その優れた業績により世界的に認められたオステオパスであり、世界で9つの伝統的なオステオパシーカレッジを創設し、学生の指導にあたる他、セミナー講師として複数の大陸にまたがって精力的に活動されています。オステオパシーの概念を頭蓋内に応用し、脳の機能を再び活性化させる数多くのテクニックを開発してこられました。小児科、婦人科、産科の分野でも多大な貢献を残し、脳震盪の後遺症の緩和にも寄与されてきました。現在までに学生及び施術者向けにオステオパシーの専門書28冊執筆されています。また、偏りなく、オールマイティーにオステオパシーの伝統を引き継いでいる数少ないオステオパスの一人であると言えます。小児科において多大な功績を残した故ヴィオラ・フライマンD.O.と懇意だったオステオパスでもあります。 フルクラム・オステオパシー・スタディ・グループ主催のフィリップ・ドゥリュエルD.O.による『エネジェティック・インパルス2』というテーマの国際セミナーに、健和トータルケアの施術者:庄子が参加してきました。去年に引き続き、エネルギー的なアジャストメント、インパルスに特化した5日間だったと言えます。アジャストメントとは、一般的には骨関節の瞬間的な矯正を指しますが、本当にうまいアジャストメントというのは、ただ単に骨を動かすということでは、全くありません。骨関節の変位を正すことで、血管運動、自律神経系の流れを改善し、そこから内臓などにも影響を波及させます。 今回のセミナーでは、1の内容をより掘り下げ、肋骨、四肢などのインパルスの方法と、上部頸椎のより詳しい知識と技術なども学びました。上部頸椎に関しては、カイロプラクティックなどでも非常に重要視されておりますが、逆に、乱暴な手技をして一番事故が起きやすいのも上部頸椎です。また、迷走神経などの非常に重要な自律神経系が通っており、上部頸椎の問題で身体の不調が慢性化している方も多く、非常に慎重さが求められる部位であり、また、正しく施術した場合の変化の度合いが大きい所でもあります。 ドゥリュエル先生の手法であるエネルギー的なインパルスは、通常のアジャストメントの様に骨を動かすという感じでは全くなく、本当に必要最低限の力で、身体に対して「情報を与える。」という感じですが、うまく行えば非常に大きな変化を起こせる技術であり、限りなく安全な技術です。 また、ドゥリュエル先生がインパルスを生徒にこれだけの時間を割いて教えるというのは、世界的にも非常に稀なことの様で、教師に対してや特別な生徒に対してしか教えないし、少人数に対してしか教えないとおっしゃっておられましたが、我々の努力と進歩を認めて下さり、特別に教えて頂けた研究会でした。勿論、上部頸椎の技術などは、初心者が力任せに行うと非常に危ない部位なので、教える立場の方も慎重なのだと思います。 本当に、貴重な知識と技術を学んだ5日間でした。今後の臨床に、生かしていきたいと思います。