月経(生理)が半年以上、自然に起きず、妊娠を希望するも不妊に悩んでいた。
手術歴や明らかな疾患は特になかったが、慢性的な生理痛、生理不順が生理が始まった当初からあった。
2人目の妊娠を望むも、半年以上自然に月経が起きなくなり、産婦人科にて無月経の治療を受けていたが、投薬すると月経がくるが、投薬をやめるとまた月経が来ないということを繰り返し、医師に『今後は自然に月経が起きることはないだろう。』と言われ、ショックを受けて自然療法的なアプローチを探し、ホームページを見て当院に来院。
蝶形後頭底結合部(SBS)を中心として、頭蓋の骨格や膜系に非常に強い緊張があり、頭蓋内の下垂体という婦人科系のホルモン分泌を促す部位が正常に働いていないことが疑われた。また、長期間に渡る投薬治療や医師とのやり取りでも非常に深く意気消沈しており、そうした心理的側面がさらに婦人科系の機能を抑制している疑いがあった。また、子宮、卵管、卵巣などと関連する膜組織(子宮広間膜など)に非常に強い緊張があり、そうしたことも元々の生理痛などの原因になっていたと思われる。
婦人科にまつわる骨格、子宮広間膜(子宮と卵巣をつなぐ膜)などの婦人科とまつわる膜組織の緊張の緩解を計り、それと同時に、頭蓋の骨格的歪みにアプローチし、下垂体自体にも施術を加える。結果として、全身的な施術を行った。
この方の場合、改善意欲が非常に強かったため、ご本人の希望で最初のうちは1~2週間に一度のペースで施術をした。施術を始めた当初は産婦人科における投薬治療を続けていたが、ご自身の意思で、全ての投薬治療を中断し、オステオパシー施術を続けることとなる。オステオパシー施術を受け始めて1カ月ほどして、卵胞の成長は未熟であったが、自然に月経が起きるようになる。実際上、投薬せずに自然に月経(生理)が起きたのは、一年ぶりぐらいであった。
その後は、3週間に一度程度施術を受け、施術を受け始めて5か月ほど経った後、正常周期で月経が起きるようになり、卵胞の成長の度合も以前に比べて格段に改善されているという検査結果が産婦人科にても得られた。
その後、施術を受け始めて6か月程して、以前までは、人工授精に至るだけの卵胞の成長が見られなかったが、人工授精に足る卵胞の成長が初めて確認されたため、本人の希望にて、人工授精をすることとなる。
その後、妊娠が確認され、2人目のお子様を授かったというお喜びの報告を受けた。
オステオパシーの哲学にもあるように、人は『身体』『心』『精神』の三位一体で生きており、この方の場合、妊娠を強く望むが月経が来ないという心理的ストレスも強くあり、さらに状況が悪化していったということが疑われます。
身体的には、女性ホルモンと非常に関係の深い下垂体を中心とした頭蓋の緊張や婦人科に関連する膜系の緊張が元々あり、また、実際の婦人科と関連する膜や靭帯、及び神経系や血管系と関連の深い骨格などにも問題があり、それによって慢性的な生理痛、生理不順などが引き起こされていたと考えられますが、おそらくは心理的ストレスも関与して無月経が慢性化したことが疑われます。正直に申し上げて、当院に来院された時点では、医師の『もう月経が自然にくることはないだろう。』という発言により、非常に意気消沈し、2人目のお子さんを強く望んでいたこともあり、絶望感に打ちひしがれていました。そうしたことも、無月経が慢性化したことと無関係ではないと施術者には思えました。人は、『絶望』すると、身体の機能も乱され、何らかの疾患にかかることも多いと言えます。実際に、『自然な方法で妊娠するかもしれない』という希望が見いだせてからはみるみる改善が見られたケースでした。
また、長期間に渡る投薬治療にも問題があることがございます。これは、婦人科に限ったことではなく、何らかの投薬治療を長期間に渡りしすぎると、身体の生理機能はその投薬自体によっても影響を受け、逆に『自然治癒力』が抑制される場合もございます。この方の場合は、自分自身の意思がはっきりしている方だったので、自ら投薬という選択肢を辞めて、オステオパシー施術にかけたということも結果的に良い方向に向かった例だと思います。(もちろん、当院の施術者は、全ての投薬治療を否定しているわけではありません。投薬が最適なケースもあると考えています。)
当院では、月経にまつわる諸問題(生理痛、生理不順、月経前症候群、無月経症候群)について多くの改善事例がございますが、オステオパシー施術によって身体の構造と機能が正常化し、心理的ストレスも軽減されると、月経関連の問題が改善に向かうことがございます。