2015年4月以降、愛知県名古屋市と滋賀県彦根市の二か所で開院予定。滋賀県彦根市では開業8年目。
先日、プロテニスプレーヤーの知る人ぞ知る、錦織圭選手が、
テニスプレーヤーとして命でもある、
右手首のリハビリに、手術は行わずにオステオパシーを選択したというニュースが話題になりました。
錦織圭選手が右手首の腱損傷のリハビリにオステオパシーを選択したという記事の詳細
日本ではオステオパシーの認知度はまだまだ低いかもしれませんが、
海外のプロスポーツ選手の身体的ケアを、オステオパス(オステオパシー医学に携わる実践者の略称)が行っていることは珍しいことではありません。
あの錦織選手が、手術以外の選択肢を探したときにオステオパシーを選択したというのは、
10年以上オステオパシーを学び、実践してきた私からしても、
嬉しいニュースでした。
ただ、あまり驚きはありませんでしたけれども・・・。(笑)
2016年6月3日~8日まで、国際オステオパシーシンポジウムに参加してきました。
このシンポジウムには、世界中のオステオパス(Osteopath)、MD(メディカルドクター)、PhD(博士)が集まり、
様々なテーマでプレゼンやワークショップが開かれました。
この記事はブログですので、主観的な感想などを中心に書かせて頂きますが、
セミナーの詳細などは、『過去に参加した研究会の紹介』ページにても紹介しています。
シンポジウムに参加してみて、自分が今まで追求してきたオステオパシーの最前線に触れ、
感無量の経験となりました。
参加している方々のほとんどは、D.O.(ドクター・オブ・オステオパシー、もしくはディプロマ・オブ・オステオパシー)の称号を持っている方なのですが、私はフルクラム・オステオパシー・スタディ・グループのメンバーとして、シンポジウムを主催されているフィリップ・ドゥリュエルD.O.が来日した際に、我々のオステオパシーに懸ける情熱、姿勢、実力を高く評価してくださり、シンポジウムに快く迎えてくださいました。
実際にD.O.に囲まれて講義を受けたわけですが、正直に言えば、D.O.を持っている、持っていないということよりも、どれだけそれに情熱を注ぎ、勉強、実践してきたかということが重要なのだとも思いました。
決して、自分が歩んだ9年に及ぶ道のりは間違いではなかったと感じたところもあります。
実際に、講師やテーブルトレーナーの方々も、我々に非常に関心を抱いて下さり、
分け隔てなくご指導頂きました。
特に今回のシンポジウムでは、脳に関する知識と技術を深く磨きました。
オステオパシーでは脳自体にも働きかけることがありますが、
実際に脳の炎症を改善させたり、小児の発達に関わることでも脳の調整というのは非常に鍵となる事柄であり、
健和トータルケアの施術者も日頃から頭蓋や脳の施術を行っておりますが、
より深い知識と技術の研鑽ができたと思います。
また、赤ちゃんや小児科に関して、より詳しく勉強する機会ともなりました。私は小児の施術が大好きですが、それには私自身、二人の子供がおり、今現在0歳児の赤ちゃんがおりますので、赤ちゃんのことで悩む親御さんの気持ちが痛いほど分かるんですよね・・・。また、赤ちゃんのことで悩むお母さんや赤ちゃんの力になりたいという想いを、一オステオパスとして、また一父親として抱いています。
施術者の子供:2016年6月現在、生後7カ月
それにしても、モントリオールという土地はカナダの中でも非常に特徴的な街であり、
フランス系カナダ人が非常に多いのですが、それと共に、イギリス系、アメリカ系、他の国の移民などが入り交じり、
形成された独特のコスモポリタンの様相を呈しており、町の人々も本当に笑顔が絶えない町でした。
また、街中の街路樹にもリスが住んでおり、動物があまり人間を怖がらないんですよね・・・。(笑)
本当に、良い町でした。
また、一緒に行ったFOSGの仲間達や、新たに出会った海外のD.O.とも親しくなり、本当に良い経験をさせて頂きました。
今後も、健和トータルケアの施術者として患者様に喜ばれるよう精進していきたいと思います。
また、是非、今後もこうした機会を持ち、日頃の臨床に還元できればと思います。
長期間の休院日を設け、誠に恐縮でしたが、心から感動する経験となりました。
ありがとうございました。
オステオパシーというと、聞きなれない方も多いと思いますし、整体の様なもの?カイロと同じようなもの?頭蓋仙骨療法と同じ?など、様々な疑問をお持ちの方が多いと思います。
確かに、オステオパシーについて説明しようとすると、少々難解なところがあるのは事実です。なぜなら、オステオパシーを創始したのがアンドリュー・テイラー・スティルというアメリカ人医師であり、オステオパシーとはそもそも特定の治療法などを指しているわけでは無く、人体に対する「哲学」を元にした手による医学であり、人体の「自然治癒力」というものに着目した「自然医学」だからです。
そもそも、カイロプラクティックを創始したD.D.パーマーという方は、元々、オステオパシー創始者であるスティル先生の生徒だった方が、骨格の矯正と神経の円滑化(かなり簡略して書いておりますが・・・)にある程度特化して創始したのがカイロプラクティックであり、オステオパスの中には、カイロプラクティックは元々、オステオパシーの一部であると考えている方もおられるようです。
また、頭蓋仙骨療法という独立した名前の様に思われておりますが、この頭蓋仙骨療法というのも、元々、オステオパシーにおける頭蓋領域のコンセプトを抽出し、世に広めたものであり、それにはアプレジャーD.O.(D.O.とはドクターもしくはディプロマ・オブ・オステオパシーの略)が、頭蓋仙骨系に関わるオステオパシーを一般の人向けに教えたのがことの発端と言われており、頭蓋仙骨療法も元々オステオパシーの一部であると言えます。
では、オステオパシーとは一体何なのか?ということですが、なるべく簡単に述べるなら、人体の自然治癒力に重きを置く、人体に関するエンジニア(調整技師)のようなことをしていると言えます。
例えば、風邪をひいたりしても、大抵の場合、時間が経てば熱も下がり、自然に治癒していくと思いますが、何らかの外傷や事故、出産などのダイナミックな身体の変化、出生時に非常に難産だった、もしくは大きな心理的ショックなども人体は影響を受けますが、時に、人体の素晴らしい自然治癒力をもってしても、なかなか自然に治癒できない大きな問題が形成された時、繰り返し何らかの症状に悩まされたりすることがあります。
オステオパシーでは、骨格、筋膜、内臓、神経、血管、脳や脳脊髄液など、解剖学や生理学などの基礎医学を元にして、一体何が自然治癒を妨げているのかを手で探り出し、体の構造や機能に働きかけて、自然治癒を妨げている要因を手によって取り除き、再び身体自身がより良い状態に戻っていけるように働きかけます。
オステオパシー創始者であるスティル博士は、非常に印象的な言葉を残しています。原文では、「見つけ、治し、放っておく」という言葉なのですが、要約するとこういうことです。
「まず原因を見つけなさい。そしてそれを治しなさい。あとは自然に任せなさい。」
これはつまり、古い時計があるとして、どこか歯車が狂っているところがあったらば、その時計がチクタクと正しく働かなくなると思いますが、その原因となっている歯車の噛み合せを改善すれば、自然に正しく時を刻むことができるようになると思いますが、オステオパシーは人体に対してこれをしていると表現することもできますね。
もちろん、正しくオステオパシーを行うためには、解剖学、生理学、病理学、発生学などの基礎医学や自然科学に関する多くの知識が必要になり、また緻密で繊細な触診技術や治療技術も必要になります。
それと同時に、オステオパシーでは人という存在は、「身体(BODY)、心(MIND)、精神(SPIRIT)」の三位一体で生きており、身体全身でひとつの生命を成り立たせていると考えています。
例えば、腰痛などの特定の痛み症状があったとしても、その原因が必ずしも、痛みのある箇所にあるとは考えず、特定の骨格や筋膜に原因がある場合も、腎臓や腸などの内臓の緊張に原因がある場合もあり、それを身体全身から探り出しますし、場合によってはストレス状態や心理状況、もしくは生活環境や深い領域での人の意識の困窮なども考慮に入れて、施術を行います。
上記のことを総じて述べるならば、オステオパス(オステオパシ―の実践者)とは自然に依拠する人体に関するエンジニアであり、オステオパシーとは人という存在をホリスティックに診る「自然医学」であると言えます。
少々長くなりましたが、少しでも、オステオパシーに関してご理解頂けると嬉しく思います。
私自身、オステオパシーに出会って、自分の人生をかけられるだけの生きがいを感じながら、施術に当たっています。
もちろん、私の施術を受けて頂けることは嬉しいことですが、それ以上に、オステオパシーの社会的認知度が上がることも望んでいます。
本当に、私自身、素晴らしいものだと感じているからです。
ここまで読んで下さった方がおられれば、ありがとうございます。(笑)