施術を受けるにあたって、オステオパシーについて、施術についてなどを参照の上、オステオパシーの施術についてある程度ご理解いただきますようお願い致します。
左の臀部から足先までのきつい痺れがあり、腰の痛み、寝違えの様な首の付け根の痛みがあり、病院にて画像検査の結果、腰椎4番~5番の間に椎間板ヘルニア(髄核の飛び出し)が発症しており、それによって神経に刺激が加わり痺れ症状が起きているという診断を受けた。
虫垂炎の手術(俗に言う盲腸)、立ち仕事の習慣。
整形外科にて、あまりにも症状が収まらなければ手術をすることを勧められ、怖くなって知人の紹介で来院。
以前に虫垂炎(盲腸)の手術を経験しており、手術を受けてから既に10年以上経過しているが、その間に強い瘢痕癒着が形成され、その瘢痕癒着に引っ張られて骨盤や腰椎に強い歪みを形成していた。そうした構造上の問題が限界にきて、椎間板ヘルニアを起こしたと考えられる。激しいスポーツや高いところから飛び降りた瞬間に痺れが起きたということでもなく、なぜ普通に生活をしていてヘルニアが起きるのかというところが、実は非常に重要な点です。
最初の施術では、椎間板ヘルニアを起こしているところには施術をほとんど加えず、骨盤、胸椎などの問題のある骨格に優しい方法で調整を加え、それと同時に、虫垂炎の瘢痕癒着と腸間膜などの膜系の緊張の緩解を計る。また、頭蓋内の静脈洞にアプローチし、身体全体の痛みに対する感受性を改善する。他、内臓の膜を含めた全身的な施術を行う。
初回の施術で痺れ症状はかなり軽減し、その後3度目の施術の後、痺れも痛みも全く感じなくなったという感想を頂いた。その後1か月程時間を空けて再来院したが、症状が再発していないことを確認し、再度全身の調整を行って、施術は終了した。
オステオパシー施術によって多くの椎間板ヘルニアと診断された方の改善に成功してきましたが、当院の施術者は病院にて椎間板ヘルニアと診断された方でも、実際はヘルニアだけが原因となって痺れ症状を引き起こしているのではないという意見を持っています。
どういうことかと言いますと、そもそも強い外傷を経験したわけでもなく、普通に生活をしていてなぜ、ヘルニアが起きたのかということが重要だと考えています。実は、椎間板ヘルニアと診断された方の身体を調べてみると、内臓の膜や胸郭の膜の緊張、ヘルニアを起こした部位ではない部位の強い骨格の歪みなどを確認することが多いからです。
言ってみれば、ヘルニアが起きた部位自体と言うのは、そうした全身的な緊張や歪みの結果を請け負ってしまった『被害者』であると言えます。詳しくは述べませんが、椎間板ヘルニアの頻発部位である腰椎4番と5番の椎間、もしくは5番と仙骨の間の腰仙関節などは、体の他の部位のアンバランスを請け負ってしまう構造的宿命が存在します。また、そうした椎間板ヘルニアの頻発部位は馬尾神経といって、その近くを通る神経自体はそれほど太い神経ではないのに、髄核の飛び出しにより痺れや神経痛が頻発するということも、疑問が持たれる点なのです。こうした諸事情を体の構造的に鑑みて、ヘルニアが起きている部位自体にいきなり施術をしたとしても、改善が得られないことが常ですし、未熟な施術家が容易にそうしたことをすると逆に悪化させてしまうこともあります。
当院では、ヘルニアが起きている部位ではなく、『なぜ、ヘルニアを起こしたのか?』ということを全身を分析したうえで、非常に安全な技術を選択し、痺れ症状を早期に改善できるケースがございます。
また、実を言いますと、画像診断をすると椎間板ヘルニアが明らかに起きているのに、上記の方の様な痺れ症状が全くない事例も多く見受けられることがあるようです。もし本当に、ヘルニアだけが原因で痺れが起きるのであれば、全ての方に同じような症状がでなければおかしいと言えますね?
実際上、明らかなヘルニアが画像診断で確認されたのに、オステオパシーによって痺れや痛みが全くなくなることがありますが、再度画像診断をしても、ヘルニア自体は同じように存在するということもございます。当院では、特に腰椎椎間板ヘルニアで、整形外科にて手術を勧められたケースでも改善事例が多くございます。
妊娠中に左膝に水が溜まり、整形外科にて一か月以上数回に渡って膝の水を抜くがすぐに再発し、妊娠22週時には痛みのために正常な歩行が困難となる。他に、腰痛、恥骨痛、坐骨神経痛、顎関節症などの症状が妊娠を契機に悪化。また、来院した当初は2度目の出産に強い不安を抱いていた。
関節リウマチ、子宮筋腫、卵巣嚢腫、顎関節症
フリーペーパーとホームページを見て来院。
オステオパシーの検査により全身を調べてみると、膝に水が溜まる原因は、骨盤隔膜などの隔膜系(呼吸と共に、静脈やリンパを流している膜系。横隔膜などがその代表的な役割を担う)の機能が極端に低下しており、本来であれば還流しなければいけない液の流れが滞っていた。それは、以前にリウマチや子宮筋腫、卵巣嚢腫などを引き起こしていた原因とも無関係ではなく、妊娠を契機に元々あった廃液系の問題が顕在化したことが分かる。問題を根本的に改善するためには、膝の関節の問題を解消すると共に全身的な調整によって体液の循環を円滑にする必要があった。
一度目の施術では、特に仙骨を中心とした骨盤における骨格系を整え、また膝の関節自体を正常化する。そのうえで、骨盤隔膜などの施術により足部の廃液を促進し、静脈やリンパの還流を改善する。また、胸郭と横隔膜にも施術を加え、呼吸器系と横隔膜の支持自体を改善し、全体的に内臓下垂気味だったのを、腹部をしっかりと支持できるよう留意する。
一度目の施術の後、格段にスムーズに歩けるようになり、後日膝に水が溜まらなくなったという感想を頂いた。その後、2~3度の施術で症状のほとんどが消失し、その後はスムーズな出産を希望して臨月まで1か月に1~2度程度来院されたが、初産の出産では陣痛から18時間かかったそうだが、今回の出産は2時間程度の非常にスムーズな経過で出産され、お喜びの感想を頂いた。【みなさまからの声に体験談あり。】
人体というのはまさに全体でひとつのシステムを構築しています。膝に水が溜まるという局所的な問題であったとしても、それはその部位に限局された原因で起きているわけではないと考えられます。この方の場合、妊娠して胎児が大きくなっていくのに付随して、元々あった廃液系の問題が顕在化し、その結果として膝に水が溜まるという現象が生じたと考えられます。同時に、腰痛や恥骨痛、坐骨神経痛が起きていたのも、腹部を支持しているのは大まかに言えば横隔膜と胸郭や肺などの呼吸器であると言えますが、全体的に胸郭や横隔膜による腹部の支持が弱くなっていたために、下半身に様々な症状が集中したと言えます。こうした場合は下半身に症状があったとしても、あくまでも胸郭を含めた全身の液の流れの改善と、胸郭と腹部の圧のバランス自体を改善する必要があるケースでした。結果として、全身に施術を加えたことになりますが、良好な経過を辿り、また出産の過程自体が非常にスムーズであったのも、呼吸器や胸郭の支持が改善されたことも関係してと考えられます。付言しておくと、出産の過程で妊婦さんがいきむ時、呼吸器や胸郭が正常であればあるほど、いきみやすくなります。
オステオパシーでは、今ある症状を改善するだけでなく、出産をスムーズに迎えるためのノウハウがございます。この方以外にも多数の方が、初産の方も含めて一般的な生理学本に書かれている平均時間よりも格段にスムーズな出産を経験している事例がございます。もちろん、全ての方が安らかな自然出産を経験している訳では御座いませんが、産科オステオパシーに精通した施術者のオステオパシー施術は、『安産支援』として選択して頂くのに有意義であると言えます。。
右肩が全く正常に挙がらなくなり、じっとしていても痛みが走り夜も寝られず、生活に重度の支障を来していた。また、更年期に伴うのぼせや発汗があった。
手術経験などは特になし。直近の健康診断では肝機能障害という診断。
整形外科にて五十肩という診断を受け注射を勧められるも抵抗があり、知人から紹介を受け当院に来院。
この方の場合、初見で肩関節自体に肩の挙上不全の大本の原因がないことがオステオパシー的検査で明確になった。人体の内部では縦横無尽に膜系が繋がっており、腹部の内臓の膜に引っ張られて肩が挙がらなくなっていることが多々確認されるが、この方の場合は肝臓の異常緊張によって肩の挙上不全が引き起こされていることが疑われた。肩関節も固まっていたが、それは二次的被害を受けた部位であると判断した。
肝臓周囲の膜系に施術を加え、内臓における膜のテンションを正常化させる。それと同時に肝臓の機能の改善を計ると同時に、食事や生活習慣に関する指導も行った。また、腕神経と動脈の流れを改善するため、関連する骨格と筋膜にも施術を加える。肩関節に関しては、関節を構成する筋肉、靭帯をひとつひとつ緩解した。
一度の施術後、肩の挙上が格段に楽になる。その後、3度目の施術の後、再び肝機能を病院にて調べる機会があり、その際に肝機能の数値が正常値に近づいていることが確認される。その後、5回目の施術の後、右肩の痛みはほとんど緩和されたという感想を頂いた。
実は、更年期に差し掛かった女性に非常に多い現象として、肩の挙上不全(俗に言う四十肩、五十肩)が起きることがございます。もちろん、肩関節自体に原因があってこうした症状を起こしている方もおられますが、場合により肝臓などの内臓の膜に引っ張られてこうした症状を起こしているケースがあります。特に、肝臓の放散痛(内臓が原因でそれと関連する部位に起きる痛み)は右肩に出やすいのですが、上記の方はまさに肝機能障害と右肩の痛みが関与している疑いのあるケースでした。身体の中は縦横無尽に膜でつながれており、それはゴムでできたウエットスーツなどを想像して頂くと分かりやすいかもしれません。ウェットスーツの端を引っ張れば、引っ張っているところが足だとしても、その張力は全身に波及しますね?実は、それよりももっと複雑な張力の連鎖が人体の中では起こっていると考えられます。
肩自体に外傷を負ったわけでもなく、全く普段と変わらない生活をしていたのに突然肩が挙がらなくなるという現象には、多分に内臓の膜の緊張と内臓の機能不全が関係していることが疑われる事例がございます。そうした場合には、肩自体だけに施術を加えても根本的な改善が得られない事例が多いです。あくまで、オステオパシー施術では主訴が肩の痛みと挙上不全だったとしても内臓を含めた全身の検査と施術を行います。
ただし、この方は、同じ様な肩関節周囲炎(いわゆる五十肩)を患っている方の中でも、改善が比較的早期に見られた例であり、同様の症状を呈していたとしても、根本的な改善がみられるのにもう少し時間がかかるケースも多いということは、申し添えておきます。
発達の遅れ、多動症【注意欠陥多動性障害 ADHD】という医学的診断、どもり、頭蓋骨の変形など。
双胎妊娠、早産、帝王切開にて出産
ホームページを見て、オステオパシーによって小児の発達に関するお悩みが改善するかもしれないことを知り、来院。
妊娠が双子の妊娠であり、帝王切開にて早産で出産された。また、もう一人の子に比べても、出産時に非常に難産(帝王切開において、非常に取り出しにくいところに位置していたため)であり、オステオパシーでいうところの出生トラウマが確認された。斜頭と呼ばれるように、頭蓋の歪みがきつく、子宮内圧(胎児の時にお腹の中で受けていた圧)や出生時の経験が、頭蓋の変形や脳の発育に影響を与えていることが初見で確認された。
頭蓋骨~仙骨までの硬膜系の調整、蝶形後頭底結合部(SBS)を中心とした頭蓋の歪みの改善、また、第4脳室などの脳室にアプローチし脳脊髄液の流れを円滑にする。また、大脳や脳梁などの脳実質の緊張を緩解する。その他、全身に必要と思われる施術を行う。
この小児の場合、一度目の施術でかなり深いところまでアプローチできたため、一度目の施術から、行動や言動に大きな変化が確認されたという報告を受けた。具体的には、意味なく扉を開け閉めするといった行動をその日からしなくなり、以前は身の回りのことをお母さんでないと受け入れなかったのが、お母さん以外の家族でも大丈夫になる。また、幼稚園でも、以前よりも落ち着いて言動、行動するようになった様に思うという報告を幼稚園教諭から受けたとのこと。また、以前より我慢が効くようになったという報告を、お母さんから頂いた。
オステオパシーでは、具体的な痛み症状以外に、小児の発達に寄与するための臨床と研究が行われてきました。実を言いますと、子供に限ったことではなく、人は生まれる時の何らかの経験により、身体や心理に大きな影響を受けているということが分かっています。例えば、出産時に何らかの医療的な介入をされて生まれた場合(緊急的な帝王切開、鉗子分娩、吸引分娩など)や、陣痛が来てから出産までに非常に長時間かかった、臍の緒が首に絡まっていた、産声を正常に挙げなかったなど、様々な出生の時の状況がその後の発達に影響を与えていることが分かっています。こうしたことをオステオパシーでは広義に、『出生トラウマ』という言葉を使います。
小児科の病院などで例えば、ADHD(注意欠陥性多動性障害)などの発達障害と診断を下されたケースで、実を言いますとこうした出生トラウマの影響が関与しているケースが少なからずあると考えらえれます。場合により、物理的にも脳が締め付けられるような現象が頭蓋内で起きていて、そうした身体の構造的な問題も関与して落ち着きの無さが引き起こされている場合もあると、オステオパシーの立場からは考えています。こうしたことは、科学的に「証明」することは難しいですが、実際にオステオパシーではそうした小児の発達支援に関する臨床が昔から行われてきており、当院においても施術後に小児の言動や行動に変化が見られるという施術事例がございます。こうした小児の発達に関するオステオパシーについては、ロバート・C・フルフォード著の『いのちの輝き』でも説明されています。
ただし、こうした小児におけるオステオパシーに関しては、どれだけ深い施術をお子様自身が許してくれるかというのも非常に重要な点で、通常、施術が進むごとにだんだんと落ち着いて施術を受けてくれるようになり、それに伴って、施術の深度が増していくということが常です。また、上記の男児の場合、最初の施術でかなり深いところまで施術できたため、非常に早期に変化が現れた例です。実際上、最初はなかなか施術をさせてくれないお子様も多くおられますが、施術者自身もその子との関わりを構築していく過程で、施術が段々うまくいく様になるということもございます。
また、非常に大切なこととして、お母さんや御親族の方にも心理的に施術に協力して頂くことがございます。それは、例えば「本当によくなるのだろうか?」「何をしているか分からないし、不安だ。」などの感情をお母さんが施術中にお子様の近くで考えていると、その思考はお子様に伝染します。できるだけ、「よくなりますように。」という様な前向きで、シンプルな想いを傍にいるご親族の方に持っていただくと、施術が成功する可能性が高まります。言うまでもなく、お母さんの心理状態とお子様の心理状態は非常に密接につながっているため、お母さんや御親族の方にも施術が成功するように配慮して頂くことも非常に大切であることも申し添えておきます。(【院長コラム】内の「発達支援の小児施術を成功させるために、ご親族に配慮して頂きたいこと。」というコラムにてこうしたことをより詳しく解説しています。)
首や肩周囲が常に重だるい、呼吸がしずらい、めまい、ふらつき、疲れが寝ても取れない。
右上腕骨の骨折と手術、一日8時間以上のPCデスクワーク
整骨院にて1年以上治療を受けるも全く改善されず、カイロプラクティックの治療を受けても根本的な改善が起きないということでホームページを見て当院に来院。
この方の場合、局所的な部位に問題があるというより、頭蓋から仙骨(骨盤の中心)まで続く硬膜系が強く緊張しており、それと同時に第一次呼吸システムという原初的な呼吸機序自体に問題がありました。第一次呼吸というのは、生まれてから産声を上げる時に始まる肺呼吸以前から続く、人が受胎した時に始まる生命エネルギーのリズムと言っても過言ではありません。一説には、魚類が行う鰓呼吸に近い呼吸を人間も行っているとも言われています。こうしたケースでは、症状があるところというよりも、その方の根源的な生命エネルギーとも言える、第一次呼吸システム自体を改善する必要がありました。また、脳脊髄液という脳と脊髄を満たす液体の流れが非常に滞っており、特に後頭部から頸椎にかけて液の流れが強く滞っていたと考えられます。
頭蓋仙骨系(硬膜系)のつながりを骨格、筋膜の観点から正常化する。主に、環椎後頭関節(OA関節)、腰仙関節(LS関節)、仙腸関節(LI関節)の圧縮を正常化し、硬膜系のテンションを正常化した後に、主に頭蓋領域のオステオパシーにより、第一次呼吸と脳脊髄液の流れを改善させるようアプローチする。
一度目の施術の後、呼吸が格段にしやすくなり、また首の詰まり感が軽減しているという感想を頂く。こうしたことは今まで様々な治療を受けたが全く感じたことが無かったというお喜びの感想を頂いた。その後、2週間程度の間をあけて数回施術を受けたが、以前の様なきつい症状は消失していた。その後はご本人の希望で1~2か月に一度程度来院されたが、毎日8時間以上のデスクワークをしても以前の様なきつい症状が出ることはなくなり、日々の仕事でしんどさを感じることが格段に減ったという感想を頂いた。
オステオパシーでは、各部位の緻密な検査や分析も当然行いますが、場合により、その方の持つ生命力自体を活性化させるようなアプローチを行うことがあります。特に、全身に及ぶ不定愁訴を訴える方に、第一次呼吸システムの異常が検出されることがございます。第一次呼吸システムは、出生における諸問題(長時間に及ぶ出産経験、吸引分娩、鉗子分娩などの医療的介入、臍の緒が首に絡まっていたなど)、強い瞬間的な外傷(交通事故など)、強い心理的ショック、慢性的なストレスによってもその働きが抑制されることがございます。オステオパシーでは、特にこうした全身に及ぶ不定愁訴がまとめて改善されることが多いですが、その理由として、病院の画像検査や医学的検査では原因がなかなか特定されない症状に対しても、その方の生命力自体にアプローチすることによって、症状やお悩みがが改善されることがございます。
出産が48時間かかり、産後から腰痛、股関節痛、恥骨痛、尾骨痛、頭痛、頭ののぼせ、産後うつなど様々な不快症状を発症し、病院や他院に数か月通院するも改善の兆しが見えず、途方に暮れていた。
48時間という非常に長時間の出産経験、腎盂腎炎(10代)、手術歴などは特になし。
他院に通院するも改善せず、知人の紹介で来院。
この方の場合、出産が非常に長時間かかったことで頭蓋から仙骨までを繋ぐ強靭な膜組織である硬膜に非常に強い緊張が診られた。また、尾骨や仙骨に非常に強い歪みがあり、部分的には出産前からあったものと推測するが、尾骨の折れ曲がりなどは出産時により強固に形成された疑いがある。尾骨を障害すると、解剖学的に非常に脳や頭蓋と関係の深い部位であるため、頭蓋や脳にも影響することがオステオパシーの研究で分かっている。産後鬱と言うと、子育てなどの心理的ストレスによって形成されることもあるが、この方の場合は、体の構造的緊張が心理的な緊張を生み出している可能性が否めなかった。そうした所見が、様々な痛み症状や不定愁訴の主な原因となっていると推測された。
尾骨の過緊張を改善したうえで、主に腰仙関節、仙骨、仙腸関節、恥骨結合などの骨盤側の骨格を整え、頭蓋側でも環椎後頭関節などに施術を加え、まず硬膜系の緊張を緩解する。そのうえで、頭蓋内の静脈洞という廃液系に働きかけ、痛みに対する閾値(痛みに対する感受性)自体を改善する。その他、足部、股関節、胸郭、横隔膜など、全身的な施術を試みる。
1度目の施術の後、症状の大半が初めて軽減し、非常にお喜び頂いた。しかし、元々の症状が非常に重度であったため、その後数回は1~2週間のスパンで施術する。5度目の来院時、症状全般が以前に比べて格段に和らいでおり、全く生活に支障を来さないレベルまで改善しているという感想を頂いた。それからは3~4週間と間を空けて数回施術したが、産後鬱の様な心理的緊張も感じなくなり、痛み症状も再発していないことを確認して施術は終了した。
オステオパシーの研究で明らかにされていることとして、上記の方の様に出産に非常に長い時間かかる方や、子宮口が開いたのに一向にお産が進まないケースでは、ほとんどの方に元々体の構造的な問題があった可能性が高いと考えられます。また、元々構造的な強い問題(簡単な例では骨盤の歪みなど)がある方が長時間の出産を経験すると、そうした傾向がさらに助長されて、産後に非常に強固な症状を経験することがございます。また産後、尾骨に痛みを訴える方がおられますが、場合により、出産を契機に赤ちゃんが産道を通る際に尾骨にひっかかり、尾骨障害を引き起こすこともあります。ひどい方になると出産時に尾骨骨折が起きることもございます。
また、出産を契機として硬膜系に強い緊張が形成されると、産後に頭痛や産後鬱などを経験することもございます。オステオパシーの哲学にもある通り、人の身体と心は密接につながっており、こうした鬱症状に関しても必ずしも心理的、精神的ストレスだけが原因とは言えない事例がございます。もちろん、純粋に子育ての心労からくる事例もありますが、その分類はなかなか明確にできるものではありません。場合により、脳や頭蓋に非常に強い緊張が形成されますと、そうした身体の構造的緊張が引き金となって鬱症状を発症することも少なくないと考えられます。オステオパシーは、こうした産後の様々な不快症状の改善も非常に得意としています。また、健和トータルケアの施術者は元々妊産婦の来院者が非常に多い施術院で修行時代を送っていたため、産後の諸症状に関して豊富な臨床経験がございます。
野球のピッチャーをしていて、投球中に非常に強い肘の痛みを感じ、その後投球困難となる。
熱心に野球をしていること以外、問題は特になし。
肘の強い痛みを感じ、数か月間整形外科や整骨院に通うも野球に復帰するだけの改善がみられず、野球自体を諦めなければいけないのかと落ち込み、親族の紹介で当院に来院。
この男児の場合は、肘から手首にかけて非常に強い膜の緊張と骨格の構造的問題があり、痛みを我慢して投球していたことで問題が慢性化し、自然治癒できないところまで悪化したと考えられます。
肘から下の尺骨、橈骨という骨の間の骨間膜の緩解を行い、その後に肘の骨格的な調整を行った。それと同時に、胸椎、肩関節、肋骨、骨盤など、広範囲に渡る骨格の構造的異常を正常化する。それと同時に、炎症を引かせる為に静脈を含めた体液の流れを円滑化する。
一度の施術の後、投球をしても肘に痛みをあまり感じなくなり、以前は『投げる』という行為自体が不可能な状態だったが、ウォーミングアップ程度の軽い投球をしても痛みを感じなくなったという感想を頂いた。その後、数回の施術の後、全力で投球することを許可したが、痛みを感じないと驚きの感想を頂いた。
この男児のケースでは、痛みの原因が非常に局所的な膜の緊張と関節の異常にありました。それを特定するためには、緻密な解剖学的知識と、異常を検知できるだけの手の触診技術が必要ですが、問題の原因を特定できれば、場合によってはそのスポーツ自体を諦めなければならないように思われる強い症状があったとしても、比較的早期に改善可能なことがございます。
慢性化した身体の痛みや症状には常に身体の構造的な異常がついてまわります。それがこの男児の様に、痛む部位自体に原因がある場合も、痛んでいる場所とは全く違う部位に原因があることもございます。
オステオパシー施術では、まず、痛みの原因自体を全身から探り出します。それは、『痛みがそこにあるから、その部位を検査する。』ということではありません。そうではなく、客観的に全身を検査・分析し、構造的異常を見つけ、解消することを目指します。今まで、様々なスポーツをして発症した症状の改善に努めてきましたが、スポーツ由来の慢性化した症状に関しては、大抵、限局された部位に原因があることが多いと言えます。緻密な解剖学的知識を元にした検査・分析によって、特定の緊張を緩解することで、速やかに改善することが多くございます。
月経(生理)が半年以上、自然に起きず、妊娠を希望するも不妊に悩んでいた。
手術歴や明らかな疾患は特になかったが、慢性的な生理痛、生理不順が生理が始まった当初からあった。
2人目の妊娠を望むも、半年以上自然に月経が起きなくなり、産婦人科にて無月経の治療を受けていたが、投薬すると月経がくるが、投薬をやめるとまた月経が来ないということを繰り返し、医師に『今後は自然に月経が起きることはないだろう。』と言われ、ショックを受けて自然療法的なアプローチを探し、ホームページを見て当院に来院。
蝶形後頭底結合部(SBS)を中心として、頭蓋の骨格や膜系に非常に強い緊張があり、頭蓋内の下垂体という婦人科系のホルモン分泌を促す部位が正常に働いていないことが疑われた。また、長期間に渡る投薬治療や医師とのやり取りでも非常に深く意気消沈しており、そうした心理的側面がさらに婦人科系の機能を抑制している疑いがあった。また、子宮、卵管、卵巣などと関連する膜組織(子宮広間膜など)に非常に強い緊張があり、そうしたことも元々の生理痛などの原因になっていたと思われる。
婦人科にまつわる骨格、子宮広間膜(子宮と卵巣をつなぐ膜)などの婦人科とまつわる膜組織の緊張の緩解を計り、それと同時に、頭蓋の骨格的歪みにアプローチし、下垂体自体にも施術を加える。結果として、全身的な施術を行った。
この方の場合、改善意欲が非常に強かったため、ご本人の希望で最初のうちは1~2週間に一度のペースで施術をした。施術を始めた当初は産婦人科における投薬治療を続けていたが、ご自身の意思で、全ての投薬治療を中断し、オステオパシー施術を続けることとなる。オステオパシー施術を受け始めて1カ月ほどして、卵胞の成長は未熟であったが、自然に月経が起きるようになる。実際上、投薬せずに自然に月経(生理)が起きたのは、一年ぶりぐらいであった。
その後は、3週間に一度程度施術を受け、施術を受け始めて5か月ほど経った後、正常周期で月経が起きるようになり、卵胞の成長の度合も以前に比べて格段に改善されているという検査結果が産婦人科にても得られた。
その後、施術を受け始めて6か月程して、以前までは、人工授精に至るだけの卵胞の成長が見られなかったが、人工授精に足る卵胞の成長が初めて確認されたため、本人の希望にて、人工授精をすることとなる。
その後、妊娠が確認され、2人目のお子様を授かったというお喜びの報告を受けた。
オステオパシーの哲学にもあるように、人は『身体』『心』『精神』の三位一体で生きており、この方の場合、妊娠を強く望むが月経が来ないという心理的ストレスも強くあり、さらに状況が悪化していったということが疑われます。
身体的には、女性ホルモンと非常に関係の深い下垂体を中心とした頭蓋の緊張や婦人科に関連する膜系の緊張が元々あり、また、実際の婦人科と関連する膜や靭帯、及び神経系や血管系と関連の深い骨格などにも問題があり、それによって慢性的な生理痛、生理不順などが引き起こされていたと考えられますが、おそらくは心理的ストレスも関与して無月経が慢性化したことが疑われます。正直に申し上げて、当院に来院された時点では、医師の『もう月経が自然にくることはないだろう。』という発言により、非常に意気消沈し、2人目のお子さんを強く望んでいたこともあり、絶望感に打ちひしがれていました。そうしたことも、無月経が慢性化したことと無関係ではないと施術者には思えました。人は、『絶望』すると、身体の機能も乱され、何らかの疾患にかかることも多いと言えます。実際に、『自然な方法で妊娠するかもしれない』という希望が見いだせてからはみるみる改善が見られたケースでした。
また、長期間に渡る投薬治療にも問題があることがございます。これは、婦人科に限ったことではなく、何らかの投薬治療を長期間に渡りしすぎると、身体の生理機能はその投薬自体によっても影響を受け、逆に『自然治癒力』が抑制される場合もございます。この方の場合は、自分自身の意思がはっきりしている方だったので、自ら投薬という選択肢を辞めて、オステオパシー施術にかけたということも結果的に良い方向に向かった例だと思います。(もちろん、当院の施術者は、全ての投薬治療を否定しているわけではありません。投薬が最適なケースもあると考えています。)
当院では、月経にまつわる諸問題(生理痛、生理不順、月経前症候群、無月経症候群)について多くの改善事例がございますが、オステオパシー施術によって身体の構造と機能が正常化し、心理的ストレスも軽減されると、月経関連の問題が改善に向かうことがございます。
数か月前に追突事故(追突された側)を経験し、その後、首の痛み、頭痛、吐き気、めまい、腰痛などを経験し、それが数か月経っても一向に改善せずに途方に暮れていた。
追突事故、右の腓骨骨折(20代)、肋骨骨折(10代、20代各1回)、柔道を何十年としており外傷歴多数。
追突事故後、自動車保険の関係で病院や整骨院などに数か月間通院するも一向に症状が改善せず、保険期間が切れた頃にインターネットを通じて来院。
元々、外傷歴が非常に多い方で、ストレイン(外から衝撃を受けてそれを身体が記憶している緊張の連鎖)が数多く見られ、追突事故が引き金となって、その外力を代償するだけの余裕が体になくなり、様々な症状が噴出した疑いがあった。特に、頭蓋から仙骨(骨盤の真ん中の骨)まで続く硬膜系に非常に強い緊張が形成され、また、本来流れなければいけない頭蓋内の廃液(主に静脈の流れ)が著しく障害され、首の痛み、頭痛、吐き気、めまい、腰痛などの広範囲に渡る症状が慢性化したことが予想された。言わば、体が容認し、代償できるだけの余裕がなくなり、症状が慢性化し、自然治癒できない状態に陥ったと考えられる。
まず、硬膜の緊張を緩解させるため、腰仙関節、仙腸関節などの骨格的な歪みを整えると共に、頭蓋側でも環椎後頭関節などの調整を施し、その後に頭蓋内の廃液を促進する。頭蓋内の廃液が滞ると全身的な痛み症状やめまい症状が引きにくくなるため、廃液を促進することで全身的な不定愁訴を快方に向かわせるよう留意する。また、胸郭、腹部などの膜の緊張の連鎖も同時に緩解する。その他、必要な部位に施術を加える。
非常に元々の症状が強かったため、この方の場合は1週間に一回というペースで施術を行い、3度目の施術の際に、めまい、頭痛はほとんど感じなくなり、首の痛み、腰痛も感じない時間が増えてきているという感想を頂いた。ちなみに、『今まで受けてきた治療では全く症状が改善しなかったため、ここに来院する時も半分諦めていたが、この体の変化に驚いている』という感想を頂いた。その後は、2~3週間程度の間隔をあけて数回施術をしたが、『以前とは比べ物にならないぐらい楽になっており、生活に支障を感じなくなった』と申され、その後は一か月に一度程度、本人の希望で定期的に来院されている。
上記の方の様な強い外傷後の症状に関して、一般的な整形外科などでは首が痛ければ首を牽引するという治療法が取られることがありますが、こうした強い外傷後に生じた緊張と言うのは、実際は全身に影響を与えていることが常です。硬膜系の緊張も含めた全身的な緊張があって、その痛み症状が首の痛みや腰痛などの局所に発現していると考えない限り、根本的な改善を起こすことはできないと当院の施術者は考えています。そのためには、痛み症状がある部位だけでなく、全身的な緊張を読み取るだけの触診技術が必要であり、そうした観点で施術を行うと長年改善しなかった慢性化した外傷後のお悩みでも、改善できることが多々ございます。
また、意外に思われる方もおられるかもしれませんが、そうした外傷を経験した直後にオステオパシー施術を受けることでこうした後遺症が早期に軽減できることがございます。例えば、頚椎骨折などの重度の明らかな外科領域の処置が必要な場合を除いて、事故を経験した早期であればあるほど、回復を早められると言えます。実際、後遺症が慢性化して数年経ちますと、そうした緊張のパターンを強固に体が覚えこんでいることがあり、時間が経てば経つほど、症状の改善に時間を要することも多くなってきます。経験的に、事故を経験した急性期に施術を受ける方が症状の改善が早いということを長年の臨床経験からお伝えすることができます。
もう改善しないと意気消沈しているムチウチ経験のある方や強い外傷歴がある方でも、オステオパシーによってお喜び頂けることが少なくありません。こうしたお悩みがある方に関しまして、オステオパシーは特に有益であると言えます。
腰痛、腰が伸びない。膝に手を付かないと立てない。
手術などの既往歴は特になし。
近隣の方からの紹介により来院。
一見すると、腰が曲がり、老化による影響がかなり色濃く見えましたが、詳しく検査を行うと、腰痛の原因として片側の骨盤と股関節周囲の異常緊張があり、また肺や横隔膜などの呼吸器の腹部の支持が極端に落ちていることが認められる。また、体前面の膜の緊張の連鎖があり、腰を伸ばせないのは体内のインナーマッスル(大腰筋、腸骨筋など)が慢性的に収縮し、腹部より下の臓器などを支持するための機能が著しく低下している疑いがあった。ただ単純に、老化だけが原因とは言えない体内の異常緊張が見出された。
硬膜系や縦隔、腸間膜などの体内の膜の緊張を緩解し、仙腸関節、股関節などの身体の支持をしている骨格系に優しい方法で施術を加える。また、呼吸器、横隔膜などの胸郭の支持を強くするよう留意する。その他、全身的な緊張を緩解する。
一度目の施術で腰痛が楽になり、仰向けで寝ていても腰の痛みを感じなくなったという感想を頂いた。ただ、1度の施術後はまだ、膝に手を付かないと腰を伸ばせない状態だったが、2度目の施術後に腰を伸ばしてもしんどさをあまり感じなくなり、生活の質が向上したという感想を頂いた。
誰しもが平等に経験していることとして、人体は常に『老化』しています。それは、ある程度は抗えない、自然の摂理であると言えます。しかし、高齢の方の身体を先入観を持たずに検査すると、決して老化だけが原因とは言えない構造的問題や異常緊張が認められることが多々ございます。確かに、高齢者の方の身体の問題は、老化による関節の変形や不可逆的な問題が見つかることが多いですが、実際に症状やお悩みを引き起こしている原因は成人と変わらず改善可能なことがございます。そうした原因が取り除かれると、慢性化していた痛み症状などが改善することも少なくありません。
オステオパシーでは、何も先入観を持たずに人の身体を診るという訓練を積むことも重要視しており、上記の方の場合、ご高齢で『もう治らない。』と思っておられた腰痛が、一度の施術で痛み症状が改善した例です。また、不可逆的な身体の変化があったとしても、その状況で最善の機能を引き出すこともオステオパシーは得意としています。
『老化が原因だから仕方がない』と病院などで言われることが多いかと思いますが、必ずしも老化だけに原因を求めるのは安易すぎると当院の施術者は考えています。もちろん限度はありますが、ご高齢の方でも改善可能なことが多々あり、生活の質を向上できることがございます。